風呂敷の現在と将来

風呂敷の現在と将来デザイン

Furoshiki Today & Future
風呂敷の現在と将来

日本では、欧米化や近代化の波で一時は廃れてしまった風呂敷文化ですが、近年は環境対策やエコに優しいライフスタイルが奨励されていることから、風呂敷が再び注目されています。このエコフレンドリーの流れは、世界的なものであり、日本の優れたエコグッズである風呂敷は、世界中に普及するポテンシャルがあります。

目次

日本の風呂敷の現状:
世界での風呂敷:
エコバッグとしての風呂敷:
風呂敷用途の提案:
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日本の風呂敷の現状:

現在、日本では1日中、人通りの多い道にいれば、風呂敷を持った人に1人は出会うかどうか、といったところでしょう。日常生活で一般的に使われていた全盛期のころとは、まだほど遠い状況です。注目はされており、官民を挙げて様々な取り組みが行われてはいるものの、一度廃れてしまった伝統を取り戻すのは、長く険しい道のりです。

山の木々を根こそぎ伐採してしまったら、元の自然豊かな山に戻すには数十年の歳月を要します。地道に進んでゆくしかありません。

世界での風呂敷:

世界に目を向けると、やはり風呂敷は一部で注目されています。しかし、それは物珍しさや憧れであり、実生活で利用している人は、ほとんどいません。

欧米を1週間旅しても、1カ月旅しても風呂敷を使っている人を目にすることは、おそらくないでしょう。風呂敷という言葉は、海外ではほとんど知られていません。

一方、寿司という言葉は、おそらく世界中で誰でも知っている日本語でしょう。日本から世界に普及した文化は他にも沢山あります。風呂敷は、認知度で大きく水をあけられていますが、寿司と同じくらい価値のある日本の伝統文化なのです。

気候の温暖なカリフォルニア等のアメリカ西海岸、スペイン等の欧州の地中海沿岸、コパカバーナが有名なブラジルの海岸では、海水浴が人気です。ブラジルにはアフリカから伝来したカンガという布文化があります。砂浜に敷いたり、体に巻いて衣類の様にも使ったりします。地中海沿岸では、ハマム(トルコ式風呂)で敷いたり体に巻いたりして使われるペシテマル(ハマムタオル)が親しまれています。この様な用途であれば、風呂敷にも十分に現地で即戦力として活躍の場がありそうです。

エコバッグとしての風呂敷:

肝心のエコバッグとしての風呂敷は、簡単ではあるものの使い方を学ぶ必要があり、地道な普及活動が必要です。風呂敷の事を知らない人であれば、一見かなり斬新なデザインのバッグに見えるはずです。何かの切っ掛けでファッションアイテムとして流行することも考えられます。

「風呂敷の歴史」で、布文化としての広義の風呂敷と、日本独自の文化である狭義の風呂敷の定義について述べました。狭義の日本の風呂敷は、包むことや運ぶことに特化しました。その一方で、他の用途で使われることは、ほとんどなくなってゆきました。

風呂敷用途の提案:

世界中への普及を目指す上で、日本の風呂敷の特色である包む文化を伝えると同時に、各地の習慣や布文化を理解し、現地の社会に馴染むような提案をしてゆくのが賢明ではないでしょうか。

その一つが、浜辺での利用です。テーブルクロスとして使うことにも、おそらく抵抗はないでしょう。まずは人々に使ってもらい、風呂敷を認知してもらうことが大事です。

パーティーに持ち寄るボトルを風呂敷で包んでもらうのはどうでしょうか。風呂敷ほど簡単にしっかりと瓶を固定出来て運べるものも他にありません。

デザインも日本特有の絵柄に加えて、世界各地の様々なデザインを採用するのも一つの案です。素材についても、日本の風呂敷素材にこだわらずに、世界中にある布素材を採用し、多種多様な布文化と融合して発展してゆく風呂敷の姿をぜひ見てみたいと思います。

「他の文化との融合により、日本の伝統が失われてしまう」と思われる方もいるかもしれません。しかし日本には、伝統をしっかりと保存し継承して下さる方々がいるので心配はしていません。文化とは発展とともに変わり続けるものです。是非とも、日本の内外で、多くの人々に受け入れられるように変化し、世界中で躍動する風呂敷の雄姿を目にしたいものです。

著者:長田拓也 Takuya Nagata. Amazon Profile

小説作家、クリエーター。英国立大学UCAを卒業。卒業論文では、日本のミニマリズムについて論じた。エコロジーやライフスタイル等、社会の発展に寄与するアート・ムーブメント『MINIЯISM』(ミニリズム)の創設者。欧州各地でライターとして様々な分野で活動し、後にナレッジハブ「The Minimalist」(ザ・ミニマリスト)をローンチ。

かつてブラジルへサッカー留学し、リオデジャネイロにあるCFZ do Rio(Centro de Futebol Zico Sociedade Esportiva)でトレーニングに打ち込む。日本屈指のフットボールクラブ、浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ)でサッカーを志し、欧州遠征。若くして引退し、単身イングランドに渡った。スペイン等、欧州各地でジャーナリスト、フットボールコーチ、コンサルタント等、キャリアを積む。クリエーティヴ系やテクノロジー畑にも通じる。ダイバーシティと平等な社会参加の精神を促進する世界初のコンペティティヴな混合フットボール「プロプルシヴ・フットボール」(プロボール)の創設者。
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