Furoshiki Tech
風呂敷の技術
風呂敷は長い歳月をかけて様々な技術を育んできました。日本そして風呂敷に独特の技法も多く存在します。また、近年では機械でのプリンティングも用いられるようになっています。
目次
風呂敷の素材:
風呂敷に使われる素材は伝統的に絹と綿でした。絹の代替品といえるレーヨンや、綿の代替品と言えるポリエステル、またナイロン、アセテートなどの化学繊維も使われています。天然繊維と化学繊維を組み合わせた半合成繊維などの研究が進み、布でありながら撥水性のあるもの等、様々な特徴を持った生地が生まれています。
絹:
伝統的な製法としては、「ちりめん」(縮緬)や「つむぎ」(紬)があります。
ちりめん(縮緬)は、縦糸に撚りの弱い糸を使い、横糸に強い撚りのあるものを用いた絹の平織りで、表面にシボと呼ばれる凹凸が生まれ伸縮性があります。煌びやかな表面の質感とそのしなやかさは、高級感があります。水にぬれると縮みデリケートです。正絹で織るちりめん(縮緬)は、厚手の「大シボちりめん」と薄手の「絽ちりめん」に分けられます。
つむぎ(紬)は、蚕のまゆ(繭)から取り出した糸に撚りをかけて強度を高めた紬糸で平織りされた絹織物です。手で撚りをかけることから所々で糸の太さが異なり、深い味わいが生まれます。繊細な繊維である絹を用いながらも、光沢はさほどなく、非常に耐久性に優れています。
暑さの厳しい夏でも過ごしやすいように、薄手に特殊な製法で織った絹織物に「絽」があります。
綿:
綿は洗濯や手入れがしやすく、伝統的に最も一般的な風呂敷の素材です。生地の製法によりシャンタン綿、綿ローン、天山綿、ブロード綿、西陣織など様々です。
化学繊維:
レーヨンの場合、絹のようにちりめん加工されることが一般的で、水を含むと絹の様に縮みます。
ポリエステルは、特有の滑らかな光沢があります。非常に耐久性がありますので、薄くても丈夫でシワになりにくく、誰にでも扱いやすい素材です。
ナイロンも丈夫で軽いため、持ち運びに便利です。強度と弾力性があり、シワになりにくく、吸水性が低く速乾性があり洗濯も容易です。
アセテートは半合成繊維で、絹の様な質感と肌触りで、適度な吸水性もあります。熱や摩擦に弱く水を含むとその強度が低下するため、生地に負荷がかからぬように洗濯にも注意が必要です。
染め:
染料は、伝統的なものは植物などから取り出した天然染料で、天然の素朴な色合いが特徴です。現在では化学染料も使用され、繊細な色のバリエーションをコントロールすることが可能になっています。
藍染め:
数多くある染料の中で、藍はその深い青の色合いが美しくよく知られています。発酵させたタデ藍を染料に使います。藍染めされた生地には消臭効果や防虫効果もあります。
絞り染め:
しぼり(絞り染め)は、生地を固く縛るなどして、意図的に染料の浸透に不均衡を作り出すことで模様を浮かび上がらせます。決められた型があるわけではなく、生地に施されるくくり(括り)により得られる絞りのシワと水分の浸透具合で醸し出される風合いはとても素朴で飽きのこないものです。
引き染め:
引き染めは、刷毛により染料を生地に浸透させます。染料が染み込む部分とそうでない部分の差が模様となります。染み込まない部分を定める方法には「型糊置き」と「筒引き」があります。
印染め:
印染めは、文字の通り、生地上に印(しるし)を入れるための染色方法です。古くは家紋などが染められた例が多く、型を用いて表と裏、どちらからでもくっきり目立つように染めます。一見は、印の様でなくても、印染めの技法が用いられていることもあります。
プリンティング:
現在ではデジタルインクジェットプリントや昇華プリントで、データファイルを基に写真や絵柄を意のままにプリントすることが出来ます。
デジタルプリント:
デジタルインクジェットは、生地に対して染料を直接吹きかけて染めてゆく形ですので、非常に精度が高く、デジタルイメージをプリントすることが可能で、綿などの天然繊維とポリエステルなどの化学繊維の両方に使用が可能です。
昇華プリント:
昇華プリントは、一度インクジェットでプリントした転写紙を生地とあわせて熱ローラーで過熱し昇華転写する技法のため、ポリエステルの風呂敷にしか使用できません。
顔料プリント:
顔料プリントは、厳密には染めとは異なります。生地の繊維に色が浸透しているのではなく、風呂敷をキャンパスに見立ててペインティングするかの如く、その表面に顔料で絵柄をのせます。
縫製:
風呂敷は長い生地を正方形よりやや長めに裁ち、三つ折り縫製で仕上げます。生地を織った際のみみをきり落とさずにそのまま残すのも一般的です。出来上がった風呂敷の形は、正方形、若しくは正方形に近い四角形です。
著者:長田拓也 Takuya Nagata. Amazon Profile
Follow @nagatackle小説作家、クリエーター。英国立大学UCAを卒業。卒業論文では、日本のミニマリズムについて論じた。エコロジーやライフスタイル等、社会の発展に寄与するアート・ムーブメント『MINIЯISM』(ミニリズム)の創設者。欧州各地でライターとして様々な分野で活動し、後にナレッジハブ「The Minimalist」(ザ・ミニマリスト)をローンチ。
かつてブラジルへサッカー留学し、リオデジャネイロにあるCFZ do Rio(Centro de Futebol Zico Sociedade Esportiva)でトレーニングに打ち込む。日本屈指のフットボールクラブ、浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ)でサッカーを志し、欧州遠征。若くして引退し、単身イングランドに渡った。スペイン等、欧州各地でジャーナリスト、フットボールコーチ、コンサルタント等、キャリアを積む。クリエーティヴ系やテクノロジー畑にも通じる。ダイバーシティと平等な社会参加の精神を促進する世界初のコンペティティヴな混合フットボール「プロプルシヴ・フットボール」(プロボール)の創設者。
https://www.amazon.co.jp/-/e/B08Q4JPWRN
https://twitter.com/nagatackle
https://www.instagram.com/nagatackle/
https://www.facebook.com/takuya.nagata.794
https://www.linkedin.com/in/takuya-nagata-5730b069/