かいまき(掻巻)は、防寒着かつ寝具です。布団の基となった衣類で半纏に分類されます。その外見は丸みを帯びた和服といった感じです。よぎ(夜着)とも呼ばれます。
着物の中に綿などを詰めたもので、分厚いため保温力に優れ、とりわけ冷え込みが厳しい冬の防寒に向いています。
着物から発展した掻巻 成り立ちと機能
着物は日本の伝統衣装としてよく知られています。もともとは古代中国から伝わったものです。その後、素材や製法、デザイン、絵柄などが和風になり和服が確立され、現代まで連綿と続く日本文化になっています。
掻巻は、日本の伝統的な衣服である着物から発展しました。掻巻は、快適さや保護のために着物の裾や袖を身体に巻きつける行為のことも意味します。着物はそもそも体に巻きつけるようにして着る、ゆとりがある衣服ですので掻巻という行為はごく自然なことでしょう。
掻巻の主な目的は保温です。日本の冬場は寒冷地では氷点下まで気温が下がりますし、江戸時代(1603年~1868年)には江戸(現在の東京)でも河川が凍ることがありました。
特に寒さの厳しい東北や北信越地方では掻巻の使用頻度が高く、地域によって形状などに特徴が見られます。
掻巻は着るだけではなく、就寝時に上から体に被せて保温することにも使われました。丁度、現在の掛け布団のような使い方です。
現在でも布団のように用いられる掻巻ですが、着る際は主に部屋着とされ、外出時に着ることはあまりありません。
掻巻から布団に発展
掻巻は、布団の原型に位置付けることができます。掻巻は古代から中世にかけて日本で広く使われていた寝具です。現在では布団ほど普及はしていませんが、日本の寝具文化を語る上でとても重要なものです。
現在の掻巻は着物に綿を詰めたものですが、庶民が使った原始的な掻巻は、寝る際に布を折り畳んだり巻きつけたりして体を包み込むものでした。体の保温が主な目的で、生地が厚ければそのぶん効果的でした。
やがて、着物に綿を詰めたものを掻巻として用いるようになりました。日中の生活時に身にまとい、就寝時には着たまま寝たり体の上に掛けたりして体を冷やさないようにしました。
季節によって仕様を変えることも行われました。着物は非常に貴重なものでしたので、寒い季節には仕立て直して中に綿を詰めて保温性を高めました。そして暑い季節が近づくと、着物の中から綿を取り出して涼しくしたのです。
武士といった身分の高い人は、畳の上に横たわり掻巻を掛けて就寝しました。平民は、床に筵を敷くなどして上から掻巻をしました。
それがやがて、衣類や布を簡易的に用いるのではなく、より就寝に特化した寝具として、布団へと進化していったのです。
布団は寝る時に床や畳に敷き、日中は畳んで片付けます。部屋の端に寄せたり、押入れに収納したりします。これは従来のベッドにはない特徴ですが、布団の出自が衣類というのを知れば、何ら不思議なことではないでしょう。
日本の伝統社会において、家屋で大きな寝具が空間を専有することはありませんでした。
動物の掻巻
掻巻には衣服以外にも、動物の習性を意味することもあります。爬虫類や哺乳類などが尻尾を体に巻き付けて体を温めたり安全を確保したりする行動を取ることがあります。また、自分の体以外にも、草や葉といった周辺の環境に身を巻きつける場合もあります。
哺乳類の赤ちゃんが母親の体や尻尾に包まれているのはよく見る光景です。体を丸めることで露出する表面積が減り、保温性や安全性が高まります。また、心理的な安心感を得ることもできます。
根本的な意味は、衣類の掻巻も動物の掻巻も同じで「体を包む」ことです。掻巻は動物が身を守るための習性であり、その本能が人間の中にも残っていると考えるのは自然なことでしょう。
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著者:長田拓也 Takuya Nagata. Amazon Profile
Follow @nagatackle小説作家、クリエーター。英国立大学UCAを卒業。卒業論文では、日本のミニマリズムについて論じた。エコロジーやライフスタイル等、社会の発展に寄与するアート・ムーブメント『MINIRISM』(ミニリズム)の創設者。後にナレッジハブ「The Minimalist」(ザ・ミニマリスト)をオープン。
かつてブラジルへサッカー留学し、リオデジャネイロにあるCFZ do Rio(Centro de Futebol Zico Sociedade Esportiva)でトレーニングに打ち込む。日本屈指のフットボールクラブ、浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ)でサッカーを志し、欧州遠征。若くして引退し、単身イングランドに渡った。スペイン等、欧州各地でジャーナリスト、フットボールコーチ、コンサルタント等、キャリアを積む。ダイバーシティと平等な社会参加の精神を促進する世界初のコンペティティヴな混合フットボール「プロプルシヴ・フットボール」(プロボール)の創設者。
クリエーティヴ系やテクノロジー畑にも通じる。スペース カルチャー & エンターテインメント ハブ『The Space-Timer 0』をローンチ。
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