2020年にユネスコ無形文化遺産に登録された日本の「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」には「畳製作」が含まれています。
畳の特徴
畳には独特の特徴があります。足元の安定感はありますが、植物の繊維でできているため柔軟性があり、湿度調整や断熱、防音といった機能があります。また、畳は天然素材ですので外観や触感に優れ植物の素朴な香りもあいまり心を落ち着かせる効果もあります。
畳は単なる床材ではなく、日本の精神、美意識、文化、生活様式に欠かせないものとなっています。
畳の構造
一般的な畳は、たたみどこ(畳床)、たたみおもて(畳表)、たたみべり(畳縁)からなります。
畳縁は畳の縁を囲み保護する役割があります。畳表は畳の表面で、主にイグサやユーカリの葉が使われ、耐久性と外観を向上させます。畳床は畳の芯となる厚みのある部分で、イグサや稲わら等が使われます。
畳の製造過程
畳を造るには洗練された技術が必要で、機械が発達した現在でも畳職人は現役です。
収穫し乾燥させたイグサやユーカリの葉を糸で縫い合わせ、畳の大きさに切って畳表にします。
畳の芯である畳床にはイグサや稲わらを均等に敷いて、その上に畳表を被せます。畳縁で畳全体を囲い、縫い合わせて完成です。
畳の寸法
現在、日本において畳の主な寸法は5通りあります。長さと幅の比率が概ね2対1になっています。
きょうま(京間):191.0 cm × 95.5 cm
ろくいちま(六一間):185.0 cm × 92.5 cm
ちゅうきょうま(中京間):182.0 cm × 91.0 cm
えどま(江戸間):176.0 cm × 87.8 cm
だんちま(団地間):170.0 cm × 85.0 cm
畳の寸法は地域や製造業者によって微妙に異なることがあります。なお、これは畳表の寸法です。畳の厚みには差異がありますので、それも考慮する必要があります。今日の畳の厚さは概ね5.5 cm~8 cmです。
畳は長い歴史の中で、利便性を高めるために規格となる寸法が定まってきました。
初期の畳は、敷く部屋の床面積や用途に合わせて一枚一枚、作っていました。身分の高い貴族や武家の屋敷では大きな畳が好まれ、庶民の家屋では小さな畳を敷く傾向がありました。
なお、中世頃の畳の厚さは3 cm~5 cm程度だったと言われており、現在の畳は厚さが増していることが分かります。
「じょう」(畳)と「じょう」(帖)の違い
畳は「六畳」「四畳半」など、部屋の広さを表す単位として使われていました。しかし、和室ではない場合は畳が敷かれていないため、面積の単位を明確にするために「帖」という漢字が用いられるようになりました。畳も帖も、ともに「じょう」と読ませることができます。「帖」は畳部屋とフローリング部屋、両方に用いることができます。なお帖は162平方 cmと「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」で定められています。
畳の種類
畳と一括りに言っても多種多様です。素材や製法、用途等によって実に多くの畳が発展してきました。
縁付き畳:
最も一般的な畳です。縁を付けて耐久性を高めています。
縁なし畳:
一般的な畳は布で周囲を保護していますが、縁なしの畳もあります。一風変わっていて、おしゃれなデザイン性を演出するのにうってつけです。
本畳:
稲わらといった天然素材の畳床を採用する畳です。「夏は涼しく冬は暖かい」稲わらの特徴が生かされています。柔らかく通気性がよく、湿気の調整に優れています。
床の間畳:
生け花や花瓶、掛け軸を飾り客間としても使われる、床の間に敷かれる畳です。色や材質を変えるのはもちろん、形を掛け軸や壺に合わせて変えることもできます。掛け軸や壺を引き立てる畳として使用される事も多いです。
和紙畳:
近年では、イグサの代わりに細長くより合わせた和紙を用いた畳も登場しています。和紙はカビやダニに強く耐久性があり変色しにくく、もともとの素材が白いため着色も自由自在です。
樹脂畳:
素材には、ポリプロピレンが主に使われます。合成素材のため自然の味わいはありませんが、摩耗や劣化が少なく水が浸透しないため表面の汚れを拭き取りやすい利点があります。置き畳、ユニット畳、フローリング畳とも呼ばれ、床の上に敷くのにも便利です。
柔道畳:
日本発祥の競技である柔道は、畳の上で行われます。柔道は足を踏んばったり投げをうったりし、非常に強い力が畳に加わります。
そこで、九州といった日本本土の南部から南西諸島で育つ耐久性の高い七島藺を畳表の素材に使う琉球畳が好まれました。琉球畳は表面がザラザラしており滑りにくいため、その特徴も柔道に向いていました。柔道畳には、琉球畳同様に畳縁がありません。
今日、柔道は全世界に普及しており、スポーツ用に開発された合成素材の畳が使用されています。主に畳表は塩化ビニル製で、芯材はウレタンといった緩衝材や断熱材などの多重構造です。畳の表面を滑りにくくしたり、抗菌・防塵仕様にしたりしている場合もあります。
琉球畳とは?
琉球畳は、日本本土から離れた南西の海にある琉球諸島の伝統的な床敷材です。沖縄は日本本土から隔絶されており、気候風土も異なり常夏で独特の文化が発展しました。そのため琉球畳は一般的な畳とは異なる特徴があります。
伝統的な琉球畳は、畳表に耐久性に優れる「七島イ草」(しちとうイグサ)が用いられます。この素材は断面が三角形でザラザラとした触感ですが、年月が経つと柔らかくなります。
通常の畳には保護のために畳縁がありますが、琉球畳には縁がありません。そのため熟練の技術が求められ製造には手間暇もかかります。縁がないので外周部分が痛みやすいともいえますが、強度のある素材を使っているため縁が不要だという考え方もできます。
琉球畳は高い技術を要し、非常に緻密な工法で製造しています。上品質で独特の外観であり、希少なため高級品となっています。
琉球畳の寸法は半畳が基本です。日本本土の畳が長方形なのに対して、琉球畳は正方形です。製造方法が琉球畳のものでなくても、縁がなく正方形の畳を琉球畳と呼ぶことがあるのは、このためです。
琉球畳は特徴的な南国、沖縄の暮らしを彩る文化の一つと言えるでしょう。
畳の成り立ち
畳は日本の伝統的な床敷材です。その起源は、古代にまでさかのぼります。むしろ(莚)のような平織が縄文時代(紀元前14000年頃~紀元前300年頃)にあったことが分かっています。
畳(たたみ)と呼ばれますが、通常は折り畳みません。しかし、初期は筵や御座といった薄手の敷物を畳と呼んでいました。その名の通り、使用時以外は畳んでいたのです。
平安時代(794年~1185年)の頃になると厚くなり始め、室町時代(1336年~1573年)には書院造で部屋の床に隙間なく敷かれるようになったのです。
奈良時代(710年~794年)には、寺院や貴族の屋敷で畳が使用されていました。
江戸時代(1603年~1868年)には、武士は位に応じて、城内で座る畳が決まっている場合がありました。
長い歴史のある畳ですが、やがて日本家屋やその生活様式に欠かせないものとなり、現在でも使われています。
筵とは? 太古の昔から伝わる敷物

座布団と畳 その密接な関係

座布団とは? 小さくて薄いが奥が深い日本の象徴

布団とは? 自由自在に折り畳める不思議な寝具

著者:長田拓也 Takuya Nagata. Amazon Profile
Follow @nagatackle小説作家、クリエーター。英国立大学UCAを卒業。卒業論文では、日本のミニマリズムについて論じた。エコロジーやライフスタイル等、社会の発展に寄与するアート・ムーブメント『MINIRISM』(ミニリズム)の創設者。後にナレッジハブ「The Minimalist」(ザ・ミニマリスト)をオープン。
かつてブラジルへサッカー留学し、リオデジャネイロにあるCFZ do Rio(Centro de Futebol Zico Sociedade Esportiva)でトレーニングに打ち込む。日本屈指のフットボールクラブ、浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ)でサッカーを志し、欧州遠征。若くして引退し、単身イングランドに渡った。スペイン等、欧州各地でジャーナリスト、フットボールコーチ、コンサルタント等、キャリアを積む。ダイバーシティと平等な社会参加の精神を促進する世界初のコンペティティヴな混合フットボール「プロプルシヴ・フットボール」(プロボール)の創設者。
クリエーティヴ系やテクノロジー畑にも通じる。スペース カルチャー & エンターテインメント ハブ『The Space-Timer 0』をローンチ。
https://www.amazon.co.jp/-/e/B08Q4JPWRN
https://x.com/nagatackle
https://www.instagram.com/nagatackle
https://www.facebook.com/takuya.nagata.794
https://www.linkedin.com/in/takuya-nagata-5730b069


